企業から寄せられた声(文字情報)

有限会社花のナカムラ

会社概要

所在地: 静岡県静岡市
業種: 卸売・小売業
資本金: 300万円
従業員数: 10人
URL: http://www.1187net.co.jp/

訓練概要

コース名: フラワー装飾技能士育成コース
職種: 生花販売員
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成28年5月~9月
種別: 有期実習型訓練(キャリアアップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

静岡市にある社屋の外観
静岡市にある社屋の外観

 当社は、昭和38年6月に清水市(現在の静岡市清水区)の清水港に近い万世橋の近くで個人企業として創業しました。
 当時、港湾に関連した業務を行っていた企業では、女子社員で構成された「いけばなクラブ」というサークルの活動を積極的に支援していました。このため、当社の主体となる業務は、四季折々のいけばな素材をその企業に届けることでした。
 平成3年7月には、現在の有限会社に組織変更し、時代の変化に合わせながら、ウエディングや誕生日、プチギフト、葬儀など、個人のお客様の幅広い花に対する需要にも対応してきました。
 また、前述した「いけばなクラブ」の活動で取引のあった企業とのご縁を大切に育てながら、その企業の大切な取引先の開店や新しい事務所の開設、社長の交代などの節目を迎えるときには、花とメッセージ(添衛文)を贈る手伝いをしています。

企業でのお祝いに贈る「胡蝶蘭」
企業でのお祝いに贈る「胡蝶蘭」

 特に、企業に対するギフトとしては「胡蝶蘭」を勧めています。夜は、この「胡蝶蘭」を店内に並べてライトアップし、お客様に見てもらえるようにしたところ、企業からの注文が増えてきました。
 当社では、「花のコンシェルジュ」としてお客様の要望を詳しくうかがったうえ、最適な花をセンスよくアレンジし、花の取り扱いに慣れている社員が直接、贈り先に届けています。届けた花の写真は、お客様にメールで送信し、確認してもらっています。また、企業のお客様が利用しやすいように代金の様々な支払方法にも対応しています。
 しかしながら、当社のような零細な商店では、社員を育成するに当たって、「見て覚える」「やって覚える」といったような技術の継承方法しか実施してきませんでした。このようなことから、教える人によっては、「やり方が違う」「教え方が違う」といったように、統一されていないことが多かったので、技術の継承の方法を確立することが急務でした。加えて、慢性的な人手不足と社員のスキルアップを図るための教育訓練の実施方法に行き詰まっていました。
 こうしたときに、静岡商工会議所から毎月、会員企業に送付されてくる広報誌「Sing」を見たところ、当社と同じような境遇にある企業では、自社のニーズに合った人材を育成するためにジョブ・カード制度の有期実習型訓練を活用し、訓練生を正規雇用したという記事が掲載されていました。この有期実習型訓練に取り組む企業に対しては、同商工会議所に設置している静岡県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方に支援してもらえるということなどを知りました。
 早速、同センターに電話連絡したうえ訪問し、制度普及推進員の方から、有期実習型訓練の仕組みと実施方法、活用する企業にとってのメリットなどについて説明してもらいました。この説明を聞いたところ、有期実習型訓練を実施する前に静岡労働局に提出する申請書類の作成をはじめ、有期実習型訓練の実施中も制度普及推進員の方からアドバイスがもらえるほか、終了後の助成金の支給申請に当たっても、支援してもらえることが分かりましたので、実施することにしました。  
 

2.具体的な取組内容

Off-JT(座学等)の「実技」の様子
Off-JT(座学等)の「実技」の様子

 当社で初めて実施した有期実習型訓練は、平成28年の5月から9月までの5カ月間、1人の訓練生を対象とした「フラワー装飾技能士育成コース」としました。
 OJT(実習)は360時間とし、Off-JT(座学等)は150時間の合計510時間の訓練カリキュラムを作成しました。このうち、OJT(実習)は、接客と店舗業務、生花植物の商品製作業務を実施しました。また、Off-JT(座学等)は、社会人としてのマナーと生花店業務、取扱商品の知識と扱い、フラワー装飾技術の基礎知識などを学科として、実技としては、花束とアレンジをそれぞれ実施しました。
 訓練の指導は4人の先輩社員が務め、それぞれ役割分担しました。また、訓練の内容が錯綜しないよう、当社がこれまで蓄積してきたノウハウを事前に整理してテキスト化し、Off-JT(座学等)の教材として活用しました。
 当社では、個人のお客様よりも企業のお客様からの注文が多いことを勘案し、OJT(実習)では、電話や店舗での接客に力を入れました。また、Off-JT(座学等)では、接客に厚みが出るように花の歴史と文化、月々の花についても指導しました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 当初は、静岡労働局に提出する申請書類を作成するのに困惑しました。しかし、制度普及推進員の方から丁寧に指導してもらったことから、何とか作成することができました。特に、訓練カリキュラムや職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実習・OJT用)(ジョブ・カード様式3-3-1-1)の作成に当たっては、有期実習型訓練の内容を加味し、1項目ずつ一緒に考えてもらいましたので、非常に助かりました。

4.制度の活用による具体的な効果

Off-JT(座学等)の「学科」の様子
Off-JT(座学等)の「学科」の様子

 初めて実施した有期実習型訓練を終了して感じたことは、これまでになかった理論を教えるOff-JT(座学等)とOJT(実習)を組み合わせて実施したことによって、技術の継承を効果的に実施できたことです。併せて、訓練カリキュラムは、先輩社員の技術や情報の共有にも役立ちました。
 また、訓練生の達成感が自信となって表れたことが印象的でした。入社した当初は、挨拶する声が小さく、ビジネスマナーが不足していたのですが、これまでよりも短期間で効率よくビジネスマナーを身に付けさせることができたと思います。
 Off-JT(座学等)の学科として実施したオリエンテーションでは、当社の歴史なども教えました。こうしたことは、社員が共有するブランディング(ブランドを構築するため、組織的、かつ、長期的な取り組み)の基礎固めにもなりました。葬儀や墓参、仏壇に飾る花などから日本の歴史や仏教、文化や慣習など、これまでは仕事中に雑談していたことも成文化したことにより、理解してくれたと思います。お客様に対しては、こうした知識を伝え、ニーズに合った花を提供できるようになりました。
 正規雇用した元訓練生からは、「毎日、訓練日誌を書くのが大変でした。普段なら何気なく行っていた掃除についても、『今日は、何のために行うのか?』『どこをどのようにきれいにするのか?』『改善点はないのか』というような意識を持たないと、訓練日誌は書けませんでした。このため、毎日が実践と振り返りの連続でした」との感想が寄せられています。
 今年(平成30年)は2人が入社しました。4月から(9月まで)は、この2人を対象とした2回目の有期実習型訓練を実施しているところです。

(平成30年4月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要