企業から寄せられた声(文字情報)

サイトー電子株式会社

会社概要

所在地: 岐阜県大垣市
業種: 製造業
資本金: 300万円
従業員数: 80人
URL: http://www.saitoh-denshi.co.jp/

訓練概要

コース名: 外観検査実践訓練コース(A/B)
職種: 部品検査
訓練生数: 7人(終了後に4人を正社員採用)
期間: 平成28年10月~29年1月
種別: 有期実習型訓練(キャリアアップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

岐阜県大垣市にある本社の外観
岐阜県大垣市にある本社の外観

 当社は、昭和48年9月に揖斐川電気工業(株)(現イビデン(株))中央研究所のプリント基板のアートワーク(パターン設計)業務の請負からスタートし、昭和59年9月に車載用プリント基板の設計・製作会社「サイトー(株)」という社名で創業、平成19年5月に現在の社名に変更しました。以来、電子部品の製作や微細部品の検査業務の請負を中心に事業を展開しています。
 当社では、平成20年に発生したリーマンショックを契機として、それまでの業務のあり方の見直しを迫られました。このため、経営の効率化や新規事業への進出による企業としての生き残りを図る中で、教育を通じた人材の育成に関して試行錯誤していました。その理由は、従来の事業分野から新しい事業分野への進出に伴う新たな業務が発生したときに社員をどのように教育し、育成するかという仕組みが構築できていなかったからです。高度な業務領域(例えば、微細な部品の検査)が発生すると、その業務が「できる」か「できない」かによって社員が選別されてしまいますので、できない社員ばかりの業務領域では、取引先からの受注をもらえなくなります。これからの当社の経営を考えると、こうしたことは好ましいことではありませんでしたので、非正規社員を含めた社員全員のレベルアップを図り、多能工として育成する必要性を痛感し、何か良い方法はないものかと悩んでいました。
 そのようなときに知り合いの労務管理のコンサルタントの方に相談したところ、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練と、この訓練を活用する企業を支援している岐阜県地域ジョブ・カードセンター(美濃加茂商工会議所に設置)を紹介してもらいました。
 早速、岐阜県地域ジョブ・カードセンターに電話し、そこの制度普及推進員の方に当社に出向いてもらい、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練についての説明を聞きました。この説明によると、制度普及推進員の方のアドバイスを受けながら、訓練生の仕上がり像を考えてOJT(実習)とOff-JT(座学等)を組み合わせた訓練カリキュラムを作成したうえ、それに従って訓練を実施し、終了後は、一定の要件を満たしていれば、国からの助成金が支給されるので、教育にかかるコスト負担を軽減できるということでした。この訓練を活用すると、社員を育成するための教育プログラムを構築できのではないかと思いましたので、実施することにし、制度普及推進員の方に相談しながら申請書類の作成に取りかかりました。

2.具体的な取組内容

外観検査の様子
外観検査の様子

 今回の有期実習型訓練は、工場の電子部品の外観検査員を育成することを目的として実施しました。OJT(実習)とOff-JT(座学等)を効果的に組み合わせた3カ月間の訓練カリキュラムは、制度普及推進員の方のアドバイスを参考にしながら、事務の担当者と訓練の指導者が話し合って、AとBの2つのコースを作成しました。また、訓練生は、社内の非正規社員の中から7人を選定しました。  

〈注〉「外観検査」とは、製品の外観をチェックし、変色や傷などの不具合がないかどうかをみつける検査。「目視検査」と「拡大鏡検査」「顕微鏡検査」の3つをいいます。

 Aコース(訓練生:4人)とBコース(訓練生:3人)の違いは、AコースのOJT(実習)を外観検査実践訓練の中でも比較的難度が高い微小部品での検査を中心にしたことです。また、Bコースの訓練生は、Aコースの訓練生と比べるとスキルが比較的高かったことから、訓練時間を100時間程度短く設定し、訓練の終了後は速やかに業務に従事できる人材を育成することを目指しました。
 Aコースの369時間のOJT(実習)では、顕微鏡検査作業と目視検査作業、拡大鏡検査作業を訓練カリキュラムに盛り込み、外観検査工程の実践的な内容にしました。
 59時間のOff-JT(座学等)では、外観検査の知識基本講座に加え、外部のNPO法人に教育を依頼し、職業人としての意識づけや基礎的な職業能力の習得、安全衛生に関する知識の習得、現場でのマニュアルづくりなどの資料作成実習などを訓練カリキュラムに取り入れました。
 また、Bコースの微小部品での検査を中心とした外観検査工程の基本的な内容は、Aコースと同じですが、拡大鏡検査業務を外しましたので、顕微鏡検査作業の時間を長くすることによって、訓練生の微小部品の検査スキルの向上を図りました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

OJT(実習)の様子
OJT(実習)の様子

 有期実習型訓練は、従来から実施してきた社内教育とは異なり、しっかりとした訓練カリキュラムを立案し、これに基づいて実施しなければなりません。
 このため、訓練の指導者を務めた3人の現場のリーダーが一生懸命に頑張って指導にあたりましたが、3カ月間という短期間であったために、教えるのに苦労しました。しかし、やれることはやれる範囲内で皆で協力していこうと考え、訓練生を励ましながら、何とか予定の内容を終えることができました。
 また、Off-JT(座学等)の一部については、取引先のOBで構成されたNPO法人に依頼し、外部講師による講習を実施してもらうことによって安全衛生の重要性について理解させるなど、外部機関を巻き込んだ体系的な教育機会の提供を重視しました。
 このほか、訓練日誌については、制度普及推進員の方から訓練の開始前に記入の仕方などをアドバイスしてもらいました。7人の訓練生に対しては、実施内容に沿った誤解のない記入の仕方を心がけてもらいましたが、訓練生の間では文章表現のスキルに個人差がありましたので、とりまとめに最も苦労しました。このため、訓練の終了後には、制度普及推進員の方に表現方法や内容に齟齬がないかどうかについて確認してもらいましたので、非常に助かりました。

4.制度の活用による具体的な効果

(1)訓練の全般を通じ、7人の訓練生は初めての経験に戸惑いがあったようですが、次第に一生懸命に取り組むようになりました。
 また、訓練の終了後に正社員として働くイメージをもてるよう、訓練生一人ひとりの意識に変化がありましたので、その後の訓練を進めるうえでとても助かりました。

(2)社員を育成するための教育プログラムを構築できたことも、訓練の効果といえます。
 また、訓練の指導者自身が教えることの難しさを実感し、試行錯誤を重ねながらも、訓練生の能力差に応じて柔軟に教え方を変更しましたので、今後は、もっと充実した教育プログラムや指導方法に変えていけるという自信を持てました。

5.訓練を通じて分かった当社の課題

(1)今後も有期実習型訓練を実施するうえでは、その運用方法をどのようにしていくかということが課題です。
教える現場のリーダーの業務上の繁忙期や閑散期を考慮し、調整していくことや訓練生の選定の見極めと意識づけの難しさを実感しました。特に、訓練生については、訓練の終了後に正社員として働くイメージができるように、訓練生に対する動機づけ(モチベーション)をどのようにするかということは、有期実習型訓練の運用上で重要な課題だと思いました。

(2)訓練を終了して正社員として採用した4人をどのようにフォローし、処遇していくかということも、とても重要な課題だと実感しました。具体的には、今回の有期実習型訓練を通じて正社員に登用する仕組みづくりを構築できましたので、キャリアパスをどのように設定するかということです。また、意欲と能力の高い社員の処遇を改善し、モチベーションを持続させ、社員の成長につなげていくかということも課題です。

 そのために、今後は、キャリアアップ助成金の処遇改善コースの導入を検討し、要素別点数法による社員の職務の大きさ(業務内容と責任の程度)を相対的に比較し、その職務に従事する社員の待遇が職務の大きさに応じたものとなるよう、常にモニタリングを行って処遇することによって、当社にとっての「ダイヤの原石」となる人材の発掘と育成の仕組みを構築していきたいと思います。
 

(平成29年4月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要