企業から寄せられた声(文字情報)

川上塗装工業株式会社

会社概要

所在地: 岩手県盛岡市
業種: 一般建築塗装業
資本金: 300万円
従業員数: 12人

訓練概要

コース名: 塗装業営業社員養成コース
職種: 建築・塗装
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成27年6月~12月
種別: 有期実習型訓練(キャリアアップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

盛岡市にある社屋の外観
盛岡市にある社屋の外観

 当社は平成17年2月に創業し、主に一般住宅の塗装工事と屋根板金工事、大工工事を行っています。「自社の職人で幅広い工事を行う」という強みがあり、他の塗装業や総合リフォーム業とも異なる地域で唯一のポジションを確立しています。
 工事部門のほかに、ITソリューション事業部やリノベーションを通じて街づくりを行う「株式会社もりおか家守舎」も運営しており、盛岡を次世代にとって住み続けたいと思える街にするために様々な事業活動をしています。
 創業から10年が経過し、お客様が徐々に増え、顧客管理の重要性や情報発信力の強化の必要性を痛感していました。当社は小規模な会社なので、社員一人ひとりの果たす役割が重要となります。現場の工事を把握したうえで営業ができることに加え、ITにも精通した人材が必要となってきました。そのようなときに、当社のホームページを制作した会社に勤めている方が退職することを知りました。当社での業務内容などについて説明し、入社を打診したところ、快諾していただき、初めは非正規社員として採用しました。
 まずは現場での作業を体験し、仕事に活かすことが必要になりますが、これまではデスクワークがメインの方でしたので、現場での作業ができるかどうか心配でした。
 そこで、日頃からお世話になっていた盛岡商工会議所を訪問して上記について相談した結果、人材の育成・確保に取り組む企業を支援している岩手県地域ジョブ・カードセンター(盛岡商工会議所に設置)の制度普及推進員の方を紹介してもらいました。この制度普及推進員の方に当社の考えを説明し、それを実現するために活用できる制度がないかどうか照会したところ、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練を勧められました。その説明を聞くと、当社にピッタリの制度でしたので、早速、活用することにしました。

2.具体的な取組内容

 6カ月間の有期実習型訓練の実施に当たっては、上記の制度普及推進員の方から訓練カリキュラムと評価シートの作成方法を指導してもらいました。同業他社の事例などの紹介もありましたので、参考にして作成しました。また、有期実習型訓練の終了後に支給される助成金の支給申請手続きなどについても説明してもらいました。
 当社では、これまでに様々な助成金を活用してきましたが、このように丁寧に指導してもらったのは初めての経験でした。これによって、助成金の支給申請のときにネックとなる書類の作成もスムーズに進めることができました。

(1)Off-JT(座学等)について
 当社での工事の内容の幅が広いので、塗装と屋根板金、大工の各部門長に、訓練の指導者を務めてもらいました。初めは、「家は、どのようにして建つのか」「壁の中や屋根の下は、どのようになっているのか」など、家の構造について教えました。これを踏まえたうえで、各部門の役割と範囲、重要性について理解してもらいました。
 具体的には、営業実践技術と施工までの流れ、工事の基礎知識、安全衛生などを114時間にわたって実施しました。

(2)OJT(実習)について
 営業業務と管理業務、塗装およびその他作業を内容とした500時間のOJT(実習)では、各現場の職長に訓練の指導をしてもらいました。実際に現場に出向き、屋根や外壁足場に登って作業をしてもらいました。慣れない高所での作業だったことに加え、これまでの仕事では体を動かすという経験がほとんどなかった訓練生でしたので、体力的には大変だったと思います。その代わり、営業だけではなく、現場での作業の大変さを実感してもらったことによって、それぞれの立場の大変さを理解できるようになったので、良い経験になったと思います。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

OJT(実習)の実施風景
OJT(実習)の実施風景

 訓練生にとっては、慣れない有期実習型訓練の受講に加え、毎日、訓練の内容と感想を訓練日誌に記入しなければなりませんでした。どんなに疲れて現場から帰ってきても、机に向かう必要があり、大変だったと思います。少しでも負担を軽減するために、就業時間内に訓練日誌に記入する時間を組み込むようにしたので、毎日、継続させることができました。
訓練生が最も大変だったことは、現場での慣れない作業だったと思います。こればかりは、慣れるしかないのですが、訓練の指導者を務めた現場の職長には、常に気を配ってもらい、無理をさせない働き方や声掛けなどを心がけてもらいました。
 一方、教える側の訓練の指導者の立場として、「これまでに現場での作業をしたことが全くない人に教える」という経験を通し、「どのように伝えたら分かりやすいか」などを考えるきっかけになりました。また、人に教えることによって初めて気付くこともあったようでしたので、双方にとって良い経験となりました。

4.制度の活用による具体的な効果

 訓練の指導者と訓練生の双方で訓練カリキュラムと評価シートの内容を共有したことによって、体系的な訓練を実施することができました。これまでは、現場でのOJT(実習)が多かったことから、訓練の指導者としても、指導する業務の内容を整理でき、今後の人材育成プログラムの構築につながりました。「分からない人に伝える」というスキルを身に付けたことは、今後の新人教育や会社の広報活動の面でも役立つと思います。また、有期実習型訓練を活用したことによって、採用してからのミスマッチによる離職も防ぐことができました。

[訓練生から寄せられた感想]

 長年、IT関連の会社で働いていたため、30代の私が異業種の業界に飛び込むには勇気がいりました。このため、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練がなければ、正直言って思いきれなかったかもしれません。初めは見聞きするのが初めてのことばかりで、戸惑いがありました。訓練生として採用されたときに、上司からは、「自分がこれまでに経験してきたことを活かしてほしい」と言われましたので、それを実現するためには何を覚えれば良いのかを考え、ジョブ・カードにまとめたうえ、日々の有期実習型訓練に臨みました。
 IT業界は一時期、就業者がかなり増えた職種ですが、現在は飽和状態にあるともいえます。私をはじめ、そのような人達が様々な異業種の会社に転職し、ITを活用して内部から経営支援するということは、今後、新たな受け皿の1つになってくると思います。
 そのようなときに、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練の存在を知ることによってチャンスが広がり、転職を決断するきっかけになると思います。
 

(平成29年3月現在)

有期実習型訓練の概要

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