企業から寄せられた声(文字情報)

株式会社KEEPRIZE

会社概要

所在地: 岡山県津山市
業種: 卸売業(自動車部品)
資本金: 300万円
従業員数: 4人

訓練概要

コース名: 営業従事者育成コース
職種: 営業社員
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成27年11月~28年5月
種別: 有期実習型訓練(キャリアアップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

取り扱っている車のパーツのPR媒体
取り扱っている車のパーツのPR媒体

 当社は、平成22年4月に個人企業として創業し、平成24年10月に株式会社に組織変更した若い会社です。創業の際は、津山商工会議所の支援により、日本政策金融公庫から創業資金を借り入れることができました。
 会社の所在地は、岡山県北に位置する津山市です。業種は卸売業で、自動車整備工場やカーディーラー、中古車販売店などに自動車部品を販売しています。
 社名の「KEEPRIZE」は、①KEEP(保持する)とRISE(上がる、高まる)という意味から「高まり続ける」、②KEEP(保持する)とRIDE(〈波に〉乗る)という意味から「時代の波に乗り続ける」、③KEY(鍵)とPRIDE(プライド)という意味から「成功の鍵はプライドである」といった「希望」と「戒め」を込めて名付けました。
 ジョブ・カード制度の有期実習型訓練を活用したきっかけは、当社のお客様から教えてもらったことです。お客様の会社を訪問したときに、有期実習型訓練を実施しているところでしたので、何を実施しているのかと興味をもったことから、この訓練について説明してもらうとともに、訓練を実施する企業を支援している岡山県地域ジョブ・カードサポートセンター(津山商工会議所に設置)を紹介してもらいました。
 お客様の説明を聞くと、正規社員として普通に雇用するよりも、この制度を活用した方が人件費の削減や訓練生の成長につながるなどのメリットがあるのではないかと思いました。早速、岡山県地域ジョブ・カードサポートセンターに電話したうえ、訪問しました。そこの訓練コーディネーターの方から、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練の内容や訓練カリキュラムなどの作成支援の内容などについて詳しく説明してもらいました。
 売り上げを増やすためには、営業力を強化するとともにサービスを向上させることが必要だと思ったこと、また社員を1人増員する方が会社全体の業務の効率が上がります。
 このため、社員候補(1年契約)として1人雇用し、3カ月間ほど仕事ぶりをみて、正社員登用が見込める人材だと判断しましたので、訓練生として有期実習型訓練を実施することにしました。

2.具体的な取組内容

 OJT(実習)とOff-JT(座学等)の社内講師は、社長の私が担当しました。有期実習型訓練は、「営業従事者育成コース」とし、訓練時間は600時間としました。このうち、OJT(実習)は540時間(得意先営業、新規開拓営業、商品知識、企画技術、営業事務、顧客管理、クレーム処理、接客接遇など)、Off-JT(座学等)は60時間で、学科はオリエンテーションと職業能力基礎、営業基礎、自動車部品・用品知識、能力評価、実技としてはパソコン演習(文書作成と表計算、会計処理)を実施しました。
 訓練期間は6カ月間の長期としたために、訓練生にとっては厳しかったと思いますが、訓練生の強い意欲に加え、社内講師の熱意と指導力によって、何とか訓練を終了することができました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

Off-JT(座学等)の実施風景
Off-JT(座学等)の実施風景

(1)訓練カリキュラムの作成に当たっては、何を基準にしたら良いのか分かりませんでした。
 このため、訓練コーディネーターの方から、営業職従事者の訓練カリキュラムを事例として提示してもらいましたので、これを参考にして当社の経営方針に沿った社員教育を実施できる内容の訓練カリキュラムを作成できました。

(2)訓練生に対して有期実習型訓練の目的を理解させることに時間がかかりましたが、職業能力を向上させることが大切だということを何とか気づかせることができました。

(3)前述したように、OJT(実習)とOff-JT(座学等)の社内講師は社長の私が1人で務めました。当社は少人数の社員ですので、Off-JT(座学等)の実施は困難を伴いましたが、社長である私の業務の一部を社員に振り分けて対応しました。業務を分担したのはパート(1人)を含む3人の社員で、このうち、パートの社員は通常は半日勤務でしたが、訓練期間中はフルタイムに変更して勤務してもらいましたので、非常に助かりました。
このように、社員は、今回実施した有期実習型訓練について理解してくれましたので、協力を得ることができました。結果的に、社員も自分の業務以外の業務に従事したことによって、能力の向上につながったことに加え、全社一丸となって訓練を実施しましたので、会社の売り上げも向上しました。

(4)岡山労働局に提出する申請書類(訓練計画届や支給申請書など)は多数ありましたので、記入するのが難しかったですが、訓練コーディネーターの方の助言や指導があったお蔭により、スムーズに申請することができました。

4.制度の活用による具体的な効果

今回の有期実習型訓練を実施したことによって、次の4つのメリットがあったと思います。それは、(1)人件費の負担軽減、(2)訓練生の成長、(3)社内講師と会社全体の成長、(4)就業規則ができたことです。

(1)人件費の負担軽減
 社員を1人雇用し、売り上げを増やしたいと考えていました。しかし、売り上げはすぐに増えるわけではなく、人件費が増えます。この社員が会社に貢献できるまでには少し時間がかかります。
 当社のような規模が小さい会社では、人件費の負担にリスクがありますが、有期実習型訓練の終了後に支給された助成金によって、このリスクを軽減できました。このように、リスクを軽減しながら当社の実力以上の教育プランを進めることができましたので、非常にありがたい制度だと思います。

(2)訓練生の成長
 有期実習型訓練を実施して良かった2つ目の理由は、訓練日誌(OJT実施状況報告書)を作成したことです。訓練生にとっては負担だったかもしれませんが、OJT(実習)の指導を受けた日に感想や反省、今後の取り組みなどを記入させたことによって業務の振り返りができたようです。

1)訓練生の変化
 体系的な有期実習型訓練の実施と訓練日誌による振り返り、反省などによって、知識や技能が急速に身に付きました。

2)訓練生の感想
 訓練カリキュラムが分かりやすくできていたので、スムーズに理解できたうえ、情報共有できましたので、コミュニケーションをとることが自然にできました。また、訓練カリキュラムが計画的で先を見通すことができましたので、やる気をもって有期実習型訓練を受講できました。

(3)社内講師と会社全体の成長
 社長である私自身は、開業した当初は「少しの工夫でお客様に喜んでもらえることはないか」「もっと効率が上がる方法はないか」などと、常に最善を尽くすように心がけていましたが、お客様との付き合いが長くなるにつれて緊張感が薄れるようになっていたところがありました。
このため、OJT(実習)で日頃の業務を見直したうえ、Off-JT(座学等)では理論的、体系的に教えることの大切さに気付いて再勉強したことによって、初心に返って行動できましたので、自分自身の活性化にもつながりました。
 また、訓練カリキュラムによって、訓練生との間で当社の方針などの情報共有ができました。経営方針や仕事に取り組む姿勢などについての考えを同じにすれば、会社の大きな推進力になります。  他の社員も有期実習型訓練の実施に協力し、通常とは異なる業務に従事するうえでの苦労を感じたり、補助的に指導することが必要だと判断した場合は、一緒に講習したこともありましたので、自覚と能力の向上につながったものと思っています。

(4)就業規則ができたこと
 人件費の負担軽減や社員の成長などは、有期実習型訓練を活用する以前から大きなメリットになると感じていましたので、実施するきっかけになりました。実際に活用すると、上記の(3)に加え、就業規則ができたという予想外のメリットもありました。
 有期実習型訓練の計画に取りかかった時に、訓練コーディネーターの方から、有期実習型訓練の終了後に正社員化コースという制度があることを教えてもらいました。このコースを実施するためには、就業規則を作成し、正社員への転換制度を就業規則に規定する必要があるとのことでしたので、津山商工会議所の専門家派遣制度を活用して就業規則を整備できました。

 
 ジョブ・カード制度は、人材を育成し、結果として、「会社を強くできるツール」だと受け止めています。訓練計画届などの申請書類の作成や助成金の支給申請などは、訓練コーディネーターの方に親切に教えてもらいましたので、大変感謝しています。

<事務局追記>

 この原稿は、平成28年10月12日に津山商工会議所で開催された「ジョブ・カード制度」企業説明会での事例発表の内容を基にして取りまとめたものです。
 

(平成29年2月現在)

有期実習型訓練の概要

PDFダウンロード

有期実習型訓練の概要