企業から寄せられた声(文字情報)

株式会社Handsクリエイト

会社概要

所在地: 岐阜県可児市
業種: 教育・学習支援業
資本金: 200万円
従業員数: 20人
URL: http://hands-create.com/

訓練概要

コース名: 学習塾の教室長育成コース
職種: 講師育成
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成27年5月~7月
種別: 有期実習型訓練(キャリアアップ型) ※これまでに6回実施。現在、7回目を実施中。

1.制度の活用に取り組んだ目的

岐阜県可児市にある桜ヶ丘第一教室の外観
岐阜県可児市にある桜ヶ丘第一教室の外観

 当社は、「学習塾Hands(ハンズ)」という社名の個人企業として平成23年2月に創業し、以来、小・中・高校生に対する学習指導を中心に事業を展開してきています。
 平成25年9月には株式会社に組織変更するとともに、社名も、現在の(株)Handsクリエイトに変更しました。「Hands」という名称は、塾長(社長)の名前(博也〈Hiroya〉)のHと「and(~と)」「生徒(studennt)や父兄と手を取り合って生徒の悩みを解決していこう」という3つの英文表記に由来しています。また、組織変更したときに「クリエイト」という名称を付けたのは、「創意工夫していこう」という意味を込めたからです。
 現在は、可児市と多治見市にそれぞれ2つずつの学習塾の教室があり、講師を務めている社員は20人います。生徒数は、4つの教室の合計で約150人です。
 「進学塾」ではなく、「学習塾」という方針を敢えて打ち出したのは、進学塾の結果主義にとらわれないで、日常の教育の中で生徒の「習慣」や「過程」をつくることを大切にしているからです。このため、講師を務める社員についても、きめ細かく教育しています。具体的には、教室内や施設内の整理整頓、清掃活動を実施していることです。これによって、講師は、自己管理や身の回りの整理整頓、生徒が使用する教室などのマネジメント(清掃を含む)ができるようにしています。
 こうした教育の原点は、生徒に落ち着いた学習環境を提供することであり、サービス業がもつサービス精神にも相通じるところがありますので、当社をサービス業と位置づけて常日頃から教育しています。
 また、当社には、3つのコンセプトがあります。それは、「生徒をやる気にさせる塾であること」と「父兄と手を取り合うこと」「最後までやり抜くこと」です。これらの3つのコンセプトを実現するため、生徒には、どのようなことでも良いので、勉強を通じて1教科でもやり抜いて自信をもってもらうようにし、彼らを高校や大学、社会へと導いていくことが我々の使命だと考えています。
 このように、社員教育は、時間をかけて取り組んできましたが、定着率が向上しなかったことから、何か良い方法はないかと悩んでいました。そのようなとき、ハローワーク多治見の職員の方が求人の開拓のために当社を訪問し、ジョブ・カード制度と、この制度を活用する企業を支援している岐阜県地域ジョブ・カードセンター(美濃加茂商工会議所に設置)を紹介してもらいました。
 早速、岐阜県地域ジョブ・カードセンターに電話し、そこの制度普及推進員の方からジョブ・カード制度の若者チャレンジ訓練についての詳しい説明を聞きました。この説明によると、制度普及推進員の方のアドバイスを受けながら、訓練生の仕上がり像を考えてOJT(実習)とOff-JT(座学等)を組み合わせた訓練カリキュラムを作成したうえ、それに従って訓練を実施し、終了後は、一定の要件を満たしていれば、国から助成金が支給されるということでした。
 当時(平成25年)は、4つの学習塾の教室のうち、1つの教室の教室長が欠員となっていましたので、非常勤講師のアルバイト(1人)を教室長に育成したいと考えました。このため、制度普及推進員の方に相談し、キャリアコンサルティングを実施してもらった結果、訓練生の要件を満たしていましたので、このアルバイトを訓練生として1年間の若者チャレンジ訓練(平成26年3月31日までの時限措置)を実施することにしました。
 当社では、このような訓練を実施した経験がありませんでしたので、今振り返ると、決して満足できる内容とはいえなかったと思いますが、若者チャレンジ訓練を無事終了し、訓練生を正社員として採用することができました。その後、若者チャレンジ訓練がなくなりましたので、期間が短い有期実習型訓練を5回実施し、制度普及推進員の方のアドバイスを受けながら訓練カリキュラムなどの改良を重ねてきたこともあり、次第に満足のいく内容に変わってきたと思っています。

2.具体的な取組内容

経営者(右)と訓練生(中央)、先輩社員
経営者(右)と訓練生(中央)、先輩社員

 今回の有期実習型訓練は、学習塾の教室長を育成することを目的として実施しました。OJT(実習)とOff-JT(座学等)を効果的に組み合わせた3カ月間の訓練カリキュラムは、制度普及推進員の方のアドバイスを参考にしながら、社会保険労務士の方と訓練の担当者が話し合って作成しました。
 このうち、462時間のOJT(実習)では、授業実習と教室長実習を訓練カリキュラムに盛り込み、生徒の教務指導や教室の運営に関する実践的な内容にしました。
 また、63時間のOff-JT(座学等)では、学習塾の教室長としての意識づけや基礎的な教務能力の習得を目的として、管理業務基礎や進路指導・保護者対応基礎、教務力基礎に加えて、模擬による実技講座などを訓練カリキュラムに取り入れました。
 訓練生は、有期契約社員の中から1人を選定し、訓練の指導は塾長(社長)と先輩社員の2人が務めました。3カ月間という短期間でしたので、職場に不慣れな訓練生にとっては、この短い期間で多くの知識を習得しなければならないと感じたようで、大変だったと思います。
 しかし、当社の方針やコンセプトに沿った訓練カリキュラムの内容を短期間で習得できることから、訓練生にとっては学びの機会となり、今後の業務を推進するうえでは良い影響を与えたものと思っています。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

経営者(右)と訓練生(中央)、先輩社員
岐阜県多治見市にある桜ヶ丘第一教室の外観

 これまでに実施してきた若者チャレンジ訓練と有期実習型訓練は、従来からの社内で教育してきたときと異なり、しっかりとした訓練カリキュラムを立案し、これに基づいて実施しなければなりません。
 このため、指導者となった先輩社員は、つきっきりで何度も何度も教えることがありましたので、3カ月間という短期間で教えることに最も苦労しました。
 このような経験から、やれることはやれる範囲内で教えていこうと思い直し、訓練生の能力差や成長の幅に合わせて教えるようにしました。また、訓練生には、漠然と訓練を受けるのではなく、指導者とのコミュニケーションを緊密にとらせるようにしました。具体的には、訓練生に訓練日誌とは別に連絡帳(ノート)を作成し、これに毎日記入させるようにしました。この連絡帳を指導者と訓練生との間で交換日記のようにやりとりし、連絡を密に取り合い、報告・連絡・相談(いわゆる「ホウレンソウ」)を習慣づけさせ、指導者となった先輩社員が訓練生をフォローするように心がけました。
 また、訓練生に対する評価とは別に、節目節目で面談し、訓練の受講に対する意欲も確認しました。訓練生から「訓練の受講を途中でやめたい」との申し出が面談のときにあった場合は、その時点で訓練を中止しても良いとの覚悟で面談に臨みました。
 こうした訓練は、助成金の受給を目的として実施するのではなく、訓練生の意思を確認しながら、本当に必要な訓練を必要な分だけ実施していこうと考えています。訓練生に対しては、過度な期待やプレッシャーをかけず、自然体で訓練に臨ませる環境をつくることも、とても大切なことだと思います。その結果、訓練生は粘り強くなり、訓練の受講前と受講後を比べると、徐々にですが、確かな成長を実感できるまでになりました。
 加えて、昨年度から導入したキャリア・コンサルティング制度(現在の「セルフ・キャリアドック制度」)を活用し、訓練生を含めた全ての社員にキャリアコンサルティングの機会を提供したことによって、社員の意識が変化してきたように思います。いつの日か、訓練生だった社員が次の塾長に育つことを期待しています。

4.制度の活用による具体的な効果

 
  • (1)訓練の開始当初は、訓練生は指導内容を素直に受け入れなかったように思いましたが、次第に素直な訓練生に変わってきました。
     中途で採用した社員の場合は、新規学卒者と違って自分自身の過去の経験にあてはめてしまうために、指導やアドバイスを素直に受け入れにくいところが見受けられましたので、上記のような意識の変化は、その後の訓練を進めるうえでとても大きかったと思います。
  • (2)同世代の訓練生を社員に育ててきたことによって、この社員同士が競い合いましたので、訓練のコース名である教室長の育成が実現する手前までたどり着けたように思います。
     まだ時間はかかると思いますが、2年以内には実現できるよう、継続的に指導していきたいと考えています。その過程では、やりがいを感じられる仕事を提供し、目先にとらわれずに長い目で彼らを育成することによって当社とともに成長させ、将来は当社の塾長の後継者になってほしいと心から願っています。
  • (3)当社の新入社員教育プログラムを構築できたことも、訓練の効果といえます。
     訓練生の姿を通して訓練生に教えていくことの難しさを指導者自身が実感し、試行錯誤を重ねながらも、訓練生の能力差に応じて柔軟に教え方を変更しましたので、今後は、もっと充実した教育プログラムや指導方法に変えていけるという自信が持てました。
  • (4)訓練生の能力差に応じて訓練カリキュラムの内容を見直す中では、社員の区分を「社員」「準社員」「非常勤」の3等級の職位に分けるきっかけとなり、結果的に、社内の業務内容についても見直す良い機会になりました。
     また、訓練生の意識の変化と能力の向上を目の当たりにしたことから、労働条件を適宜見直したことにより、社員の意識を高めるような仕組みを構築できました。学習塾というと、長時間労働や休日出勤を想像する方もいると思いますが、当社では、長期的な人材育成と当社の成長を見据えて、原則として残業ゼロ、週休2日制を実現しています。こうした当社の取り組みが「業界全体の働き方改革」につなげられればと思っています。
 

(平成29年2月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要