企業から寄せられた声(文字情報)

ひろでん中国新聞旅行株式会社

会社概要

所在地: 広島県広島市
業種: 生活関連サービス・娯楽業
資本金: 1億円
従業員数: 60人
URL: http://www.topic-tour.co.jp/

訓練概要

訓練コース: 営業社員登用コース
職種: 営業員
訓練生数: 5人(訓練中)〈これまで3回実施し、9人を正社員採用〉
期間: 平成24年11月~25年2月
訓練種別: 有期実習型訓練(基本型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

 当社は、平成14年12月に広島電鉄㈱と中国新聞社が出資して設立した会社に、広電観光㈱の旅行事業部門と中国新聞トラベルサービスを統合し、平成15年10月から本格的に営業を開始しました。
 店舗は、本社・営業所(広島市)と呉営業所、福山営業所の3カ所にあります。従業員数は、正社員と契約社員を含めて60人ですが、そのうち、2割近くが契約社員です。これまでは、新卒、既卒を含めて全員を契約社員として採用し、入社してから2年間が経過した段階で、半年に1回実施している人事考課と社内試験で一定の基準を満たした場合に、正社員として登用してきました。
 そのような中で、急速なIT技術の進歩に伴い、旅行業界でも従来の営業スタイルからの転換を余儀なくされています。このため、当社でも、インターネットを活用した販売にも力を入れ始めました。また、地元の広島市を発着地とする独自性を活かした高品質な旅づくりを目指し、刻々と変化する時代の流れに対応するとともに、旅行業に必要な幅広い知識を身に付けてもらい、当社の将来を担う人材の育成を目的とした社員研修に取り組みたいと思っていました。
 このようなときに、広島商工会議所の広島県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方から、ジョブ・カードを使った人材の育成策について紹介してもらう機会を得ました。
 この制度普及推進員から勧められたジョブ・カードを活用した有期実習型訓練は、入社して2年間が経過した経験が浅い契約社員を正社員に転換するキャリア・アップ型でした。これまでに自分自身が経験してきたことを旅行業法や関連約款などに基づいて整理し、「さらなるキャリア・アップを目指す」「旅行商品の企画と販売ができるようになる」ということを今後の目標に掲げさせることができるとともに、「そのために必要な知識を身に付けてほしい」という当社のねらいを訓練カリキュラムに入れ込めることが分かりました。

2.具体的な取組内容

ひろでん中国新聞旅行株式会社
キックオフ当日(オリエンテーション)

 当社では、以下のとおり、これまでに3回の有期実習型訓練(いずれも、キャリア・アップ型)を終了し、15人の訓練生のうち、9人を正社員として採用しています。現在は、4回目の訓練に取り組んでいるところです。

(1)1回目(平成21年12月~22年3月)
7人を対象として実施し、終了後に4人を正社員として採用。

(2)2回目(平成22年11月~23年2月)
5人を対象として実施し、終了後に4人を正社員として採用。

(3)3回目(平成23年11月~24年2月)
3人を対象として実施し、終了後に1人を正社員として採用。

 1回目の訓練を開始するに当たっては、訓練カリキュラムの内容を精査しました。「旅行商品の企画と販売ができること」を目標とした訓練カリキュラムは、一般社団法人日本旅行業協会が開催している研修(海外旅行業務に3年以上従事した者が国家資格である「総合旅行業務取扱管理者試験」を受験するに当たって科目免除を受けられる研修)と同等レベルであることから、その内容を組み入れました。さらに、旅行商品の取引に付随する関連商品(傷害保険)の取扱方法や広告掲載基準と景品の規約、苦情の取り扱い、マナー研修も入れ込みました。
 1回目の対象者は7人の契約社員で、平成21年12月に開講し、4カ月間の訓練をスタートしました。
Off-JTは85時間、OJTは325時間とし、主に一般社団法人日本旅行業協会が発行している教材を使用しました。
 具体的な訓練内容としては、Off-JTでは、1.オリエンテーションでの訓練内容や評価などの説明、2.旅行業法と標準旅行業約款の理解と解説、3.JRや航空会社などの運賃規則の理解、4.国内・国際の主要観光地を知る、5.旅券や検疫、出入国管理、外為法などの理解、6.旅行業に必要な語学の習得、7.旅行広告作成と景品規約、表示規則および傷害保険に関する募取法(正しい保険募集を行わせることを目的とした保険募集取締に関する法律)の理解、8.苦情処理、9.接遇基礎(実技)を設定しました。
 また、OJTについては、インフォメーション業務や手配業務、情報チャンネルの活用、店頭での販売実務を日々の業務を行いながら、先輩社員が務めた講師から学んで実践することとし、併せて、実践したことを毎日、訓練日誌に記入させました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 4カ月にわたる長期間の訓練であり、内容もハードなものであったため、訓練生にとっては、日頃の業務プラスアルファの訓練にかかる負担は大変大きいものでした。特にOff-JTは、就業時間後に実施することが多かったためです。
 また、訓練の実施に当たり、繁忙期にあたる時期には、講師を務めた先輩社員も含め、スケジュール調整することが難しいケースも見受けられました。どうしてもスケジュール調整が難しい場合は、講師となった社員が個人的に対応するなど、社内の講師同士の連携で訓練を進めました。

4.制度の活用による具体的な効果

ひろでん中国新聞旅行株式会社
Off-JTの様子

 今回の有期実習型訓練の実施で具体的な訓練カリキュラムを作成したことによって、勤続3年目の契約社員を正社員に転換するための社員研修を継続的に行う制度を確立できました。
 OJTについては、訓練を行った時間数をEXCELで作成したカレンダー形式の訓練計画書に訓練生に入力させ、自らの訓練時間の把握に努めさせながら、訓練日誌に記入させました。このことによって、日常業務を振り返ることができたうえ、所属長に訓練日誌を提出して意見を聴くことで、今後の課題を見つけ出すことができました。
 一方、Off-JTについては、講師の名前と履修科目の一覧、時間数を訓練計画書に事前に入力しておきましたので、講師を務めた社員は、自分の担当の訓練を行う当日に時間数を入力しました。これによって、講師、訓練生とも、訓練計画書をみると、「いつ、どの科目の訓練を行うか」ということを確認できました。Off-JTの講師は先輩社員が務めましたので、訓練生を教育するために自らも学ぶことによって、社員全員のレベルアップにも繋がりました。
 正社員として採用された訓練生に感想を聞いたところ、「旅行業法や約款など、独学では理解が難しいものを訓練中に学び、理解できたことはよかった」「マナー研修で学んだことを日々の業務にさっそく活かせた」など、日常業務では得られなかったことを着実に自分のものにして実践しようとしている姿勢もみられました。
 ジョブ・カード制度の有期実習型訓練による契約社員の正社員登用は、当社の事業内職業能力開発計画の体系図で位置付けており、4カ月間の訓練を終了した後の正社員登用と、その後の人事考課による正社員登用をいずれも制度化しています。
 今後の課題としては、1.現在の制度を人材育成のために継続的に活用していくこと、2.訓練生の自発的な意識改革を促すための制度につくり上げていくこと、3.訓練を通じて日頃接する機会が少ない他部署の人たちと交流し、社員同士の連携を強めていくこと、があげられます。
 現在、当社では、学生用ジョブ・カードを取り入れた採用活動をする準備をしています。これまでの応募者には、任意の履歴書を提出してもらっていましたが、内容にバラツキがありましたので、選考には苦慮していました。学生用ジョブ・カードに記入するに当たっては、自分自身を見つめ直し、これまで経験してきたことをもとに、目標をじっくりと考えることが要求されるため、短い時間での採用面接では読み取れなかったところまで掘り下げて、学生と向き合うことができるのではないかと期待しています。
 入社試験の際に記入した学生用ジョブ・カードを2年後に実施する契約社員を対象とした研修の際に見返すことにより、自分を見つめ直す機会となりますので、必要に応じて目標を定め直し、自らのレベルアップを図ることができます。さらに、こうしたことを当社全体のレベルアップに繋げていくことが、学生用ジョブ・カードの活用と有期実習型訓練を実施するうえで大きな意義を持つものであると考えています。

(平成24年11月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要